ギターの体験レッスンには、たくさんの初心者の方にいらっしゃって頂いていますが、最初のギターを選ぶ際に、フォークギター(アコースティックギター)、クラシックギターの間での選択に迷われる方が多いようです。
以前の記事に各種ギターの違いについて簡単に書きましたが、今回はもう少し詳しく踏み込んでみます。
選ぶ最初のポイントは、まず音色の好みだと思います。おそらく両ギターを比較したとき、まず気付くのは、弦の素材による音のキャラクターの違いでしょうし、やはり音色が気にいらなければ長続きさせることはむずかしいでしょう。フォークギターは鉄弦により、きらびやかな音色、クラシックギターはナイロン弦により、やわらかな音色という具合です。また、鉄弦はナイロン弦よりもサステイン(音の伸び)が長いという特徴があります。
それから、次に重要なのは演奏性です。フォークギターは非常に形状の豊富な楽器ですので、一概には言えませんが、一般的に演奏性はクラシックギターとはかなりの違いがあります。まず、フォークギターの張力の強い鉄弦にくらべると、クラシックギターの持つナイロン弦は柔らかいため、若干抑える力が少なくて済むようです。
しかし、それ以上に異なる演奏性をもたらすのは、ネックの形状(特に太さ)です。フォークギターはプレクトラム(ピック)でかき鳴らされるように弾かれる事が多いのに対し、クラシックギターはほとんどの場合、指によって弾かれています。そのような演奏スタイルに応じて、一般的に、フォークギターはネックが細めに、クラシックギターは太めに設計されています。特に指の短い人にとっては、太いネック(クラシックギター)は細いネックに比して、若干多くの技術的な厳格さを要求するかもしれません。
このネックの形状の違いによって、あるギターから別の種類のギターに持ち帰る場合には、若干の違和感をもたらすようです。持ち替えの困難さは、太いネックから細いネックに移行する場合よりも、細いネックから太いネックに持ち替える場合、つまりフォークギター(あるいはエレキギター)からクラシックギターに持ち替える場合に、より多く起こっているようです。それには色々な原因が考えられます。例えば、フォークギターでは左手で握りこむようなフォームを取ることがありますが、ネックの太いクラシックギターではその様なフォームはまず不可能であり、このような場合に「ひきにくい」と感じられる場合があるようです。
ところで、
以前の記事で書いた、レッスン用に導入したフォークギターは、形状的に非常にクラシックギターに近い楽器です。鉄弦であることを除けば、太いネックと、それから小さなボディを持っていて、クラシックギターとの演奏性が非常に近く、元々クラシックギターを弾いていた私にとって、持ち替えにはほとんど違和感がありません。ただし、元々一般的なエレキギターやフォークギターを弾いている方は違った感じを受けるであろうと思います。
さて、楽器の種類によって、演奏されるスタイルやレパートリーに違いがあるのでしょうか?ギターのスタイルやレパートリーは常に発展・拡張しているので、各自それぞれの力で、何ができるのか、何ができないのかを探求して頂きたい部分です。ただ、前にも書いたように、クラシックギターは、右手の指で弾いて演奏されるのに最適にデザインされていますので、複数のパートを同時、かつ繊細にコントロールする必要のある、例えばクラシックギターの楽曲などに向いています。勿論、弦間の狭いアコースティックギターでも、様々なプレイヤー達によって証明されているように、指による奏法も可能ですが、各指のコントロールにおいて、さらにシビアな楽曲(ex.クラシックギターのために書かれた曲)を演奏するには幾分困難が伴うかもしれません。