2016/04/22

歴史に学ぶ (ウクレレ)

ウクレレ奏者で歴史家のJohn Kingが「ウクレレはハワイ土着の楽器ではない、20世紀のはじまる以前のとある日に、ポルトガル人によって島にもたらされたのだ」といっています*。ある日突然に、ハワイで独自に発明されたのではなく、別の場所に遠い祖先を持ち、それに先立つ歴史があるということです。そのような歴史観から、ウクレレをハワイ独自の一楽器としてではなく、もう少し広く、無数にある撥弦楽器全体の一つの形態としてみることは、ウクレレに少し違った視点を与えてくれます。またそのような視点から、他の同種の楽器との関連性を探る中で、ウクレレの独自性というものも逆説的に見えてくるかもしれません。

ウクレレの祖先と言えるであろう、ルネサンスギターやビウエラ、リュートなどの楽器の奏法や、それを裏付ける思考は、ウクレレの演奏技術を考えるときに非常に参考になります。また、ウクレレと同じリエントラント弦(re-entrant)をもつ、バロックギター等もまた、編曲等について刺激的なアイデアを与えてくれるでしょう。同じようなことは過去にもさんざん考えられているのです。「歴史に学べ」とよくいいますが、先人たちによって開拓されてきた素晴らしいアイデアをウクレレでも用いない手はありません。



* John King, Famous Solos Duets for The Ukulele (Mel Bay Publications Inc., 2004)

— Otonoki Music School 音の木ピアノ&ギター・ウクレレ教室 (ロンドン)

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