2015/03/16

スケール (音階)の話 1

標準的なピアノには88もの鍵盤があり、それぞれの鍵盤には異なる高さの音が半音刻みに割り当てられていますが、作曲家が一曲の中で、これら全ての鍵盤をまんべんなく使うというのは大変稀です。作曲家は任意に厳選した音の集合から、メロディーやコード等の音楽素材を作り、それらを配置します。この「厳選された音の集合」には、習慣的によく使われてきたものとして、例えばメジャー/マイナー・スケールがよく知られています。古典期の音楽は、もっぱらメジャー/マイナー、この2タイプの集合から取られた音の組み合わせで作られていました。ロマン派の時代になると、それから更に使っている素材は増えますが(半音階的拡張)、あくまでもメジャー/マイナー・スケールの骨格は保ったままで、その周りを彩る形で音は追加されています。一方19世紀の終わり〜20世紀前半くらいになると、メジャー/マイナー・スケールの響きに「飽きた」作曲家たちは、異なる音集合を探求し、使用するようになります。

ところで、楽器習得にはスケール練習と言うものが必ずつきものですね。スケールを練習するというのは、単に指を鍛えるというような事以外にも、読譜力、サイトリーディングの能力を向上させる効果があるでしょう。サイトリーディングでは最初に調号をみて、どこの音に変化記号(シャープやフラット)が付いているのかを考えます。経験の少ない場合、弾くたびにいちいち一つ一つの音に対して、変化記号が付いているかついていないかの確認をしなければいけませんが、もしスケールを充分に練習していれば、そのキーのなかでよく使われる音から殆ど使われない音まで、頭のなかで瞬時に階層化し、判断できるようになるでしょう。

 — Otonoki Music School 音の木音楽教室 (ロンドン)

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