ジョセフ・レヴィーンというピアニストがBasic Principles in Pianoforte Playing(ピアノ奏法の基礎原理)という本で、「記譜(読譜)に関する知識は、はじめのレッスンで徹底的に教えこまなければならない」といい、読譜に関する重要性を説いています。音楽家、特にクラシックの音楽にとって読譜力はもっとも大切な能力の一つです。
しかし、現地校等で楽器のレッスンをされてきた生徒を受け入れることがありますが、そのほとんどの生徒に共通して言えるのは、基礎的技術の欠落と、読譜力の致命的な弱さです。何年も楽器をやっているのにもかかわらず全く音符が読めない、たった数小節の単旋律を読んで理解するのに何週間もかかることさえあります。曲はなんとか弾けますが、微妙な差異があることが多いです。楽譜がよめないので、間違いは指摘してもなかなか理解できず直せません。学校のレッスンでは、先生が弾くのを何度も見て真似をする、というようなやり方でやっているのでしょう。
OTONOKI音楽教室では、初心者の生徒にはあらゆる手段を用いて、まずは楽譜を読めるようになることを目指しています。非常に初期の段階において、音符を使わず耳から入るのは音楽に親しむという意味ではある程度有効ですが、どのみちある時点からは楽譜を導入して行かなければなりません。はじめからやっても後からやってもおなじ、後からはじめればうざったく感じるだけです。
誤解を恐れずに言えば、クラシック音楽は楽譜上にてデザインされた音楽であり、したがって楽譜がコミュニケーションの中心に据えられています。クラシック音楽をしているのに楽譜が読めないというのは、文字が読めないのに文学をやったり、数字をしらずに数学をしているようなものです。それは可能かもしれませんが、長い人生においては計り知れないほどの圧倒的な損失になるでしょう。
楽譜を読むことは、実際注意深く訓練するならば、それほど難しいことではありません。すこしの忍耐を通して読譜力が高まれば、曲を仕上げる速度もあがり、たくさんの様々な作品に触れる事ができます。自分自身で新しい作品を探求することもできます。誰の力も借りず、楽譜を通して作曲家たちと直接に対話できるわけです。それがさらに豊かな音楽性を育むことにつながるでしょう。
— Otonoki Music School 音の木ピアノ&ギター・ウクレレ教室 (ロンドン)
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